『雪とカールの女王・仙丈ヶ岳!』

img_1509 のコピー雪山ツアー、新春第一弾は3000m峰!南アルプスの仙丈ヶ岳でした。

今回は北沢峠の『こもれび山荘』に連泊し、2日目に仙丈ヶ岳へアタックするという二泊三日のスケジュール。

戸台を8時にはスタートしたかったので、電車のお客さん達には我が家へ前泊して頂きました。

1日目
8時に戸台の登山口を出発。長い長い河原歩きですが谷の両側にはチャート(堆積岩)の岩壁が見事で、中には綺麗な緑色のチャートもあったり(帰宅後に調べたところ白、灰、黒、緑、赤、褐色などがあるらしい)、海底で放散虫などの殻や微生物などの死骸が堆積して出来たので、ここがかつては海底だったこと、それが何億年もかけ隆起し、水や風や雪により浸食され谷になった河原を歩いてると想像すると、退屈に感じがちな河原歩きも途方も無く壮大なロマン街道へと変りました。img_1494 のコピー

遠くに見えていた甲斐駒ケ岳、駒津峰、双子山の尾根の下部に着くと、やっと登山の始まりw

丹渓山荘跡からいきなりの急登で、どんどん上がる標高に伴い植生も変化。

河原では白樺、カラマツ、赤松などが中心だったが、北沢峠への登りに入るとがらりと変わりシラビソ、大シラビソ、コメツガ、五葉松、朝鮮五葉松、ダケカンバ、苔型林床など豊かな森の中を歩き、鹿の頭蓋骨や、猛禽類がカケスの羽をむしった作業台を発見したりと、とても興味深かったです。

標高1800m付近から雪が増え始め所々凍結もあったのでアイゼンやチェーンスパイクなどを履いてもらい、戸台駐車場から標高差1100mをのんびり7時間掛けて北沢峠の『こもれび山荘』へ到着。

前回プライベートで仙丈ヶ岳へ登った時は1月末で、冬期休業中のこもれび山荘の横にテント泊だったので『こもれび山荘』へ泊まるのは今回が初めて。
トイレは水洗だし部屋は温かいし、お料理は味も量も素晴らしいし、雪山のベースとしては最高ですね。

翌日のアタック時の服装チェックや置いて行く物など、万全の準備をしてから乾杯!

と、夕食時に張り出された天気予報を元に小屋番さんからの注意、アドバイス。
予報を伝えられると、その内容にあちらこちらからどよめき、諦めに近い溜息が・・・。

その内容は最大風速が24m、マイナス12℃など、森林限界を抜けてから長い距離を歩かなくてはならず、風を避けては通れない仙丈ヶ岳の稜線では過酷な状況が想像されるものでした⇩
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今回も当然入山前に72時間後までの高層天気図などを自分なりに分析して入山したので、そこまで酷くはないだろうと感じましたが、部屋に帰ってからも地図を見ながら頭の中で色々と作戦を考えました。まぁ夕方の最新の予報も日本時間より9時間前に出されたデータを元に分析された結果で、その元データより変る可能性も充分にあり、朝起きて実際に外に出てみない事には最終判断など出来ないので、代替案や起こりうる状況の対処法だけ考えた後は、ジタバタせず寝ました。

2日目
朝4時、起きて外へ出てみると・・・黒い空からしんしんと小雪が降ってました。
ただ救いなのは、気温が4時の段階でマイナス5℃、風も弱く暖かい。
ふわふわと降る雪の感じや上空で何の音も聞こえない事など、真っ暗な中で出来るだけの観天望気をし、目の前の現状からアタック決行を判断、出発時間を調整し直して、5時35分まだ暗い中をヘッドライトの明かりを頼りにアタック開始。

スタート地点の北沢峠が穏やかでも森林限界より上は荒れてるのは間違いないので、恐ろしい程ゆっくりな歩調で登りはじめ、暫くすると途中で撤退して下りて来るパーティが多い中、小仙丈に着いた時点での気象状況とお客さん達の状態を見て、僕のパーティの能力ならイケると判断し、11時に無風〜最大風速4mの登頂を引き当てました。(頂上でのたった5分間の話しですが)img_0049 のコピー

⇧ご覧の通り、登頂までは一切眺望無し。風もまた直ぐに強くなるに決まっているので、撮影だけしたらそそくさと退散!
しかし、この気象条件の中まさか頂上で凪になるとは、金峰山に続き本当にラッキーでガイドとしても有り難いことです。
もちろん途中のコルなどでは最大で20m近い強風は度々ありましたが、厳冬期の仙丈の稜線で強風などは至って想定内なので全員ロープで繫ぎ、樹林帯へ下りて来るまで不安を感じさせないよう対処しました。

ただ、登りではそれなりに苦労しました。
何しろ小雪の舞う真っ暗な中のスタートに加え、次々に撤退して下りてくるパーティが多い上に『頂上まで行ったけど風が強いだけで何も見えない!』と、下りて来た人の余計な一言にメンバーがナーバスになるので、今の彼が言ったのは2時間前の話で、僕らが登頂するのは2時間後なので、4時間の間に山の天気なんか幾らでも変わる事を諭したり、メンタルが落ちないよう話し続け、注意した事が出来ていないといつもより少し口調が強めになったりもしましたが、皆さん指示を良く理解して頂き、最後は楽しむ余裕もありながら全員笑顔で登頂できたこと、厳冬期に自分の足で3000mを越えれた事が皆さんとても嬉しそうだったのが何よりでした。

『きっと晴れる!』と騙して連れて来たみたいになりましたが、ちゃんと登頂の御褒美はありました!


下山を開始するとみるみる雲が吹き飛び、青空と共に次々に現れる絶景! 虹やブロッケン、なんと初富士まで拝む事ができ、絶景に絶叫しながらの下山となりました。

雪山を10時間歩き続け、15時30にこもれび山荘へ到着!
するとタイミング良く、南岳小屋の坂本さんのパーティが到着♬ 玄関先で一緒になりました。
坂本さんとも南岳以来だし、坂本さんのお客さん達も共通の知り合いが多く楽しい方ばかりでしたので、席を合わせ一緒に宴会〜♬
僕はツアーの核心日を終えた開放感からか、いつもより早く少量でフニャフニャに酔っ払った気がしますw。
そして、この日のビールは格別に美味かった!

3日目は北沢峠から戸台まで、初日と同じルートでの下山なので割愛させて頂きますが、ひとつだけ。
高層に巻き雲が現れ始めていたので『48時間後くらいからお天気崩れるよ』と、観天望気をお伝えしながら歩いていたのですが、実際にお天気が下り坂で雪が降る予報になりましたね(^^)

 

自分で企画したツアーで厳冬期に3000mを越えるガイドは初めてでしたが、胃が痛くなるような難しい判断の連続になった今年初のツアーを無事に終える事が出来て、幸先良いスタートになりました。

ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!

今年も沢山学び、慢心すること無く、安全第一で事故無く皆さんと良い山旅をして行ければと思います。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。

林 真史

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『雪とカールの女王・仙丈ヶ岳!』” への2件のフィードバック

  1. 私にとっては初めての冬季3000m峰で、不安と期待と半々でしたが、登頂できてよかった~。楽しかったし、いろいろ勉強にもなりました。
    ガイドさんのストレスは大きいんだと、今さらですが感じました。今年も、よろしくお願いします。

    いいね: 1人

    1. 頂上では眺望が無かったものの、折り返してからの光景は劇的でしたね。
      4人のチームワークで登頂出来たと思うので、参加頂いたメンバー全員に感謝しています。
      次回もまた宜しくお願いします。

      いいね

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