『西穂稜線・雪の岩稜訓練』

IMG_0207今回はツアーではなく個人ガイドで、2名のお客さんをお連れして雪の岩稜訓練のため西穂のピラミッドピークを目指しました。 1日目は西穂山荘にチェックイン後直ぐに、忘れ物や道具に不備が無いかの確認も兼ね、ハーネス、ヘルメット、ピッケル、シュリンゲ、目出し帽や服装など全て明朝出発時の格好になってもらい、山荘付近の斜面で雪訓。
ロープに繋がって歩行する際の解釈や、岩場で三点確保が必要になった時のピッケルのしまい方などの説明など諸々。

そして2日目。この日は未明まで一晩中暴風が吹き荒れていて、朝には地吹雪のため山荘前のトレースなど全て消えていて、ロープウェイ駅へ下山しようとした他のパーティの方達が道が分からず停滞していました。(元々あったトレースを外すと腰や胸まで埋まって脱出するのに大変なので)まぁ土曜日なのでロープウェイの始発が動きだしたら大勢登って来ますがね。

それより、アタック開始予定時刻にも山荘の外は地吹雪で雪煙が舞い、ガスで視界もなかったので安全最優先で出発を遅らせ、食後の珈琲を飲みながらタイミングを待ちました。
独標の取り付きまでには風が少し緩むであろう頃合いを見計らい、強風の中スタート。

最大風速20 m前後の中を歩き始めましたが、小屋から13峰への区間では飛ばされても危ない箇所はほぼほぼ無いので、独標の核心部で風が緩むタイミングになるよう恐ろしくゆっくり登り、独標から先の事はその時点の気象状況(主に視界と風)で判断する事にし、結果的には目論み通り独標手前で雲が吹き飛び晴れてくれ、頂上ではちょうど凪でした(最近風速4mに好かれてるみたいですw)

出発時から絶え間なく強風に晒されていた割に、この時点でのお客さんの体調やモチベーションがとても良かったので、今回の目的である雪の岩稜特訓のため、予定通りそのままピラミッドPを目指しました。
頂上からロープで確保してお客さんを降ろすため反対側の下りのラインを教え、下りきった時の待機場所の説明をし、先ずは10峰とのコルに向かって下り。

この日のコンディションは岩も沢山出ていたので三点確保もしやすく、確実にロープで確保していたので恐怖感を感じる事もなく楽しく下りてもらえたと思います。
因みに右の写真は5年前にここを下った時の状態ですが、岩が殆ど雪で隠れていたので確実なアイゼンピッケルワークで雪壁を下りるしかなく、一人だったので滑ったら終わりです。
この比較でも分かる通り、同じ場所でも雪の量、雪質(気温次第でグズグズだったりカチカチに氷化していたり)などで、たった一日違うだけでも(同じ日の朝と午後でも)毎回状況や難易度は違います。

他人のトレースを安易に信じるのも危険です。雪庇の上を通ってる場合もあるし、リスキーなラインも有ります。30分も吹雪けばトレース自体が消える事もざらです。1人で雪山に入るのはおすすめしませんが、もしソロで歩かれる場合は、トレースが無くても(消えても)その時の風向きや積雪状況、地形に合わせて自分で確実なラインを見極められる能力が必要です。

因みに独標は11峰でピラミッドピークが8峰なので、独標から下った次に10峰に登り返します。上の左の写真は10峰の下り。上高地側に雪庇が張り出してるので下りたら右に寄らぬよう説明してから基部まで下降&待機。ロープで確保しながら歩く場合、登りではガイド先頭、下りではお客さん先頭なので交互にシャクトリ虫のように進んで行きます。

10峰のピークを下り9峰までは順調に来ましたが、ここでタイムアップ。
この日は西風だったので観天望気で笠ヶ岳方面を見ると、直ぐにまた爆風がやってくるのは明確でした。
今現在の風速とメンバーの実力であればピラミッドまで行けたと思うが、ここで一番に考えなければならないのはピラミッドからの復路(下山)。

事故は気が緩みがちな下山の方が起きやすい。ロープウェイの時間を気にしたり余裕の無い下山はとても危険だし、土曜日なので大勢が登って来る。ロープウェイがあるお陰で中には経験の少ない初心者レベルの人も少なくない。何より直ぐにまた強風が稜線上を吹き荒れるのが分かっていたので1㍉の迷いもなく、お客さんには9峰で引き返す事を理解して頂き、引き続き訓練をしながら写真なども撮る余裕を持って下山を開始しました。
上の写真の真ん中の写真が9峰から折り返して直ぐの下り始め。前方には10峰。
そして1番右の写真が10峰と独標のコルへの下りトラバース。ちょっと慣れてきた頃のこういうトラバースは油断しやすく危険。

先ほど下った独標の岩場を今度は登り。ガイドの僕が先に登り山頂の支点にセルフをとった上でロープで確保してるので、お客さんが落ちる事は絶対にありません。
ショートロープ、タイトロープ、スタカット、穂高の稜線で不安なくスムーズに出来るようになっているのはガイド研修での特訓のお陰なので、訓練の機会を与えてくれる先輩ガイドや恵まれた環境に感謝です。

下山中に後ろを振り替えると13峰から上は思った通りの強風が吹き荒れていたので9峰で引き返して正解だったと思います。
西穂山荘でラーメンを食べてから下りる余裕くらい欲しかったしね(^^;)

雪が少なくピッケルを使う機会が殆ど無かった正月の仙丈ヶ岳と違い、今回の9峰までの往復では色々と学んで頂き着実に上達し安心感も出てきたので、お二人が今後目指すレベルの雪山への準備として、今回の強風での岩稜訓練はなかなか良い成果に繋がったと思います。

お疲れ様でした!

 

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中