『厳冬期の3000m峰・乗鞍岳』

IMG_0576 のコピー去年に続き厳冬期真っ只中の2月に、3000m峰の乗鞍岳(剣ケ峰)を目指すツアーでした。
乗鞍はスキー場のリフトで標高2000mまで上がれるため、始発リフトに乗れる人は日帰りで登る登山者も多いのですが、僕のツアーではスタートが午後になってしまうため、1日目は標高2350mの位ケ原山荘まで。 翌早朝に出発するという行程を組んでいます。

『1日目』
この日は上空5000mに−35℃の寒気が入り冬型が強まるため、日本海側は西日本から北陸、東北、北海道に掛けて荒れる予報でしたが、北アルプス南端に位置する乗鞍岳は日本海側の影響はさほど受けにくく、気温も風速も大荒れという程ではないと予想し、また乗鞍スキー場に居る遭対協でありパトロールの知り合いから直近の情報も参考にして催行の判断にしました。

実際ゲレンデ上部からツアーコース(バックカントリー)に入ってからも、登りラッセル中は暑いくらいで、時おり青空も見え風速も位が原に近づくまでは大した事ありませでした。

ただ、、、当然トレースは消え長時間ラッセル。一部吹きだまりでは腰上(瞬間的には胸まで)のラッセルになり、予想以上に難儀し時間が掛かりました。

先ずは乗鞍スキー場の最上部、カモシカリフトを下りた所でスノーシューを履き最終支度。この時点で反対側の樹林帯が見える程度の視界はあるし、開けた所でも風速瞬間10m/秒ほど。IMG_0551 のコピーここからツアーコースに入ると、最初の試練がコース1番の急登。
その後は樹林帯を緩く長く登って行きます。この日はどうせ景色も見えないしバッテリー温存の為途中の写真無しw

その日の内に全身筋肉痛になったのは初めてですが、苦労してやっと辿り着いた位が原山荘では玄関先で小屋番ムツジさんが温かく出迎えてくれ、全員雪だるまのような状態の僕らを乾燥室でも細かく気遣ってくれ、ラッセルに苦労した分ホントに温かさが身に染みる出迎えでした。

位が原山荘の冬期玄関は広い土間になっていて、濡れたザックもギア類も靴も全て熱々の薪ストーブ周りに置きっぱなしに出来る土間なので、翌出発時の動線としても有り難いです。

玄関から上がると温かいストーブに暖かいコタツ、夕食にはシカ鍋から鶏肉とキノコのホイル包み、リンゴのコンフィまで、一つ一つに手の込んだ美味しい料理の数々は、材料全てを歩荷で担ぎ上げてるとは信じ難いほどの豪華さです。IMG_0554 のコピーお米も、どうやって炊いてるの?とお客さんが聞くくらい美味しかったです。
地上でお米を美味しく炊けるのは当たり前ですが、標高2350mで炊きたての美味しい御飯を提供してくれるなんて本当に有り難く元気になれます。
この日は到着が予定より大幅に遅れたので、食後は消灯時間までの間にやるべき明日の準備を済ませ、9時に就寝☆

『2日目』
期待通り、朝から雲一つない気持ちのいい快晴! 素晴らしい朝です。
前日発表されていた予報よりも穏やかな中、ムツジさんに見送られ6時半スタート。IMG_0559 のコピーここから位が原に登るのによく使われている傾斜の緩い最短コースは雪崩地形、地形の罠に入るので、例えトレースがあろうが先行者が居ようが僕は絶対に入りません。
多少傾斜がキツくとも、高樹齢のオオシラビソ〜ダケカンバの樹林帯に沿って尾根上をジグザグに登っていきます。去年はこの樹林帯でラッセルに苦労しましたが、今回は数日前の雨でだいぶ溶けて雪面が下がり、前日の吹雪がもたらした新雪も強風で吹き飛んでたので、ほぼほぼラッセル無しで助かりました。

しかも! モフモフに膨らんだ真っ白なライチョウファミリーに遭遇♡
少しの間先導してくれ、癒され元気づけられました。IMG_0563 のコピーそして、数日前に降った雨で溶けたエビの尻尾がガラス細工のようにダケカンバの枝を縁取り朝陽にキラキラ輝く、この日、この時間でないと見れない美しい光景に出逢えました。IMG_0570 のコピー標高が上がると次第に富士見岳が見えてきて、青に映える真っ白なスカイラインの美しさに見とれてしまいます。IMG_0567 のコピー位が原へ乗り上げる直前はカリカリのバーンになっていてスノーシューだと歩き辛かったが、乗り上げて振り向けば、槍穂高の神々しさに見とれます。IMG_0572 のコピー
そしていよいよ烈風で有名な位が原に入りますが、この日はほとんどそよ風といった感じで、広大な位が原を3人で貸し切りで歩ける開放感と幸せは、前日頑張った御褒美ですね。
スペシャルでした。IMG_0576 のコピー↑位が原を進むと、正面には左から剣ケ峰〜蚕玉岳〜朝日岳、コルの反対(右側)に摩利支天が見えてきます。
この後はあのコルにある肩の小屋を目指して前進♬

一番低いコル(鞍部)の肩の小屋からは直ぐ左にある緩い朝日岳に先ず登り、後はカルデラの淵に沿って五の池や権現池などを見ながら稜線漫歩で剣ケ峰というルート取りをします。
その前に『肩の小屋口』でアイゼンに履き替え、スノーシューを建物裏手へデポ。
その後は雪崩リスクとラッセルを回避するため、この日はハイマツの生えてる岩尾根に沿って登りました。

途中から摩利支天の頂上にあるコロナ観測所が見えると、ほどなく強風の通り道になるコルに建つ肩の小屋に到着。IMG_0581 のコピー
肩の小屋の西側には宇宙線研究所の建物とアンテナが何だかSFチックに建ってます。IMG_0582 のコピー

ここから先は強風に備えロープで繋ぎ、ストックをピッケルに持ち替えもらい、先ずは目の前の朝日岳を緩く登るため九十九折に登り、後は稜線伝いに歩き1時間ほどで剣ケ峰。IMG_0584 のコピー11時には折り返すとお伝えしていましたので時間的には問題なかったのですが、ここで客さんの様子と昨日からの諸々を見ていて、今回は登頂よりパーティの安全の為、10時にここで撤退する判断にしました。

撤退と決める時は、迷い無く一瞬です。
取り合えずスノーシューを回収するため肩の小屋口(バス停)の建物へ戻ります。
IMG_0588 のコピー

後は折角のこの好条件の中ですので、下りも楽しまないとね。IMG_0591 のコピーあまりの気持ち良い天候に、大の字になって寝転ぶ二人w
『もう行きますよ!!』と声を掛けなければ、このまま昼寝してしまうかと思うほど、今日の位が原は穏やかでした。

肩の小屋口からは往路には戻らず、ツアーコース方面へ直進。
朝からこの時間まで3人だけの乗鞍でしたが、このお天気ですから当然沢山登ってきます。始発のリフトで上がってきた登山者、スキーヤー達と何度もスレ違いましたが、皆さん冬型通過後の快晴にワクワクが隠せない感じ(^^)

位が原山荘への分岐まで戻り、前日ラッセルに苦労したツアーコースへ入ると、昨日のことがまるで夢のように快適に下山w IMG_0600 のコピー

ゲレンデまで戻ると下りはリフトに乗れないので、リフト3本分のゲレンデを歩いて下り、15時に駐車場に無事到着!!

今回はロープ、ハーネス、ピッケルの出番のないレベルのツアーにはなってしまいましたが、アタック日は穏やかで素晴らしい乗鞍の峰々に囲まれながら歩け、また厳冬期の雪山の厳しさからは沢山の学びがあったと思うので、今回体験した事、足りなかった事、問題点の改善など、僕も含め各自が自分と真摯に向き合い、反省点を次に生かせる成長が出来たら、価値のあったツアーとして己の力に替える事が出来ると思います。

毎年、厳冬期にこのツアーを実現するに当たっては、位が原山荘の存在無しでは無理なので、平日は雪掻きからお掃除、料理まで全てを1人で賄ってる小屋番ムツジさんには心からリスペクト、感謝致します。

今回は貸し切りという事もあったので、食事中にも楽しいお話も沢山聞かせて頂きラッキーでした。
全てがさり気なくほんわかとして本当に居心地が良かったです。

ありがとうございました。IMG_0562 のコピー

 

『厳冬期の3000m峰・乗鞍岳』” への2件のフィードバック

  1. 3人と、白くてコロコロの4羽で、広大な乗鞍を独占でしたね~。白いイルカが群れで泳ぐような雪の造形など、はじめて見る景色に、見とれてしました。
    よい装備の重要性も、分かりました(帰りに早速補充)。いつも、いろいろと勉強になります。

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    1. ガラス細工のダケカンバも、スノードルフィンも、あの日しか出逢えない光景だったのでホント感動でしたね♡

      山の帰りにさっそく改善された新兵器の効果、次回が楽しみですね。

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