『西穂高岳@プライベートガイド』

IMG_1988 のコピー今回も募集ツアーではなくプライベートガイドのご依頼を頂き、選んだ山は『西穂高岳』
これまで僕がガイドをしてきた雪山の中では最高難易度。当然お客さんにも総合力が必要となりますが、今回もお天気とメンバーさんに恵まれ、安全かつ快適なアタックになりました。
『1日目』
この日は南岸低気圧通過のため関東平野の山間部で大雪警報、東京でも雪となる気圧配置。
3月に入ると南岸低気圧が増え、安曇野や松本、甲府など、厳冬期は快晴率の高いエリアにも『上雪』といわれる雪が降るので、出発時の我が家の光景は・・・↓

一般天気予報だけ見ると、『こんな日に山に入って大丈夫?』と考える方も少なくないと思いますが、いつも通り数日前から高層天気図を読み熟慮していたので、この日の午後から急速に天候が回復に向い、風も納まり寒気も北アルプスには影響無い事を確信していたので、むしろ3月に入ってから高温と雪不足で歩き辛くなっていた西穂稜線には恵みの雪!
3月末に西穂高岳にアタックするには絶好のチャンスです。

予想通り昼過ぎには雪は止み、相変わらずガラガラの新穂高ロープウェイに乗り、観光客も居ない山頂駅から西穂山荘に向うも登山者は我々のみ。1時間20分ほどで西穂山荘へ到着。

到着まで曇ってくれていたお陰で雪も腐らず、夕食を食べ終わる頃にピーカンになってくれるという理想的な展開でした。
山小屋もガラガラで他に一組(2名)のみだったのでとても静かで、夕暮時にはスタッフもカメラ片手に外の景色を楽しんでいました。

とても穏やかな夕暮れどき。
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目の前には夕陽に輝く霞沢岳。IMG_1986 のコピー

雲海の彼方には3日前に登頂した乗鞍岳と、2月に登頂した焼岳。IMG_1984 のコピー

まだまだ深い雪に埋もれる山荘の西側と笠ヶ岳。IMG_1991 のコピー

遠く白山の横に沈む夕陽。あまりの美しさに溜息が出ます。IMG_1988 のコピー

外の風景が絵画のような、とても贅沢な眺めの部屋を用意して頂きました。

翌日のアタック日は6時スタートなので朝食は弁当にしてもらい、8時就寝☆

『2日目』
朝5時、売店前のテーブルでお弁当を頂いたのですが、ストーブを付け温めてくれる心遣いに感謝です

予定通り6時スタート!IMG_2006 のコピー薄曇りですが穏やかで行動するには快適♬  しかもここの登りでは稜線貸し切り♡
全体的に山肌は黒い部分が目立ち雪は少なめですが、果たして昨日降った積雪や最近の高温が、どんな感じにややこしくなっているのか、またはリセットされてるのか、行ってみないとこの時点では全く分かりませんが、いつも通り積雪や気象、動作など危険と判断した場合は、例え西穂目前の2峰まで行けてても引き返す事があるのをご理解頂いてのアタックです。

丸山を過ぎると13峰の長い登りに入り、いつもの様に12峰手前で全員ロープに繫ぎます。
ここからは3名の命をロープで確保しながら岩と雪のミックスになるので両手両足は勿論、ルートファインディングのため頭もフル回転になるので写真は少ないですw(ピラミッドピークまでは3月11日の記事を参考にして下さい)

西穂高岳を1峰とし西穂稜線には13峰まであり、11峰が独標(今回は写真無し)
8峰がピラミッドピーク、4峰がチャンピオンピークと名前が付いてます。

⇩下の写真は9峰の下降で高度感があり、落ちれば1000mくらい滑落しますがロープで確保されてる限り、滑った瞬間に止めますのでご安心を。

このあとピラミッドピークやチャンピオンピークなど幾つものピークを越え、最後に40mほどの急な雪壁を登ると・・・

西穂高岳登頂! おめでとうございます☆IMG_2013 のコピー

⇩振り返ると、幾つも越えて来たピークが遥か下に幾重にも連なって見えます(白く大きな三角が先日登り、先ほど通り過ぎたピラミッドピークです)IMG_2016 のコピー

⇩右のピークが前穂。直ぐ手前に見える左の黒いピークは赤岩岳。
ここから先、奥穂方面へ雪の時期には僕がプライベートで行く事はあっても、お客さんをガイドする事は無いでしょう(途中雪洞で2泊ほどしなければならないし)IMG_2022 のコピー

登頂するまでは遥か遠くに富士山まで見渡せるほど視界が良かったのですが、写真を撮ってる間にガスが上がってきて、見る見る間に視界が無くなり、風も出てきて気温も少し下がり始めました。
でも、心配ご無用! 実はこれが下山には好都合なのです。
本峰に登る手前辺り(10時位)から雪が緩み始めていたので、このまま晴れて日射と気温が上がってしまうと稜線の雪は見る見る間に緩み、アイゼンやピッケルの効きは悪くなり、アイゼンの底が団子になるのが心配だったのですが、7〜8m/秒ほどの風とガスで気温が下がり、雪が絞まったまま折り返せたのはとてもラッキーでした。

ただ、登頂した達成感での慢心や油断からか、西穂の複雑な稜線では下山での事故が多発するのです。夏道の◯印の通りに歩くのも危険な箇所が沢山有ります。下右の情報には2件とも1000mもの滑落とありますが、ロープで確保されてれば10㎝で止められた筈なので、とても残念です。


次々に変わる地形や積雪状況に合わせ、ショートロープ、コンテ、スタカットなどロープを駆使して確実に確保しながら下って行きますので運命共同体。1人でもいい加減な動きや油断があると全員が危険に晒されるので、注意や叱らせて頂く事もありますが、厳しいルートで厳しい事を言うのは全員の命を守る当然の義務なので、ご理解とお許しをm(_ _)m

ロープで繫がれて険しい岩陵帯を通過するのに慣れてる人とそうでない人とでは、行動にも恐怖心にも差が出てしまいますが、アイゼン、ピッケルワークも複雑になる分慣れない内は上手く出来なくて当然です。テクニックは経験すればするほど必ず上達しスムーズになります。

西穂山荘に到着する手前、丸山付近で真っ白でコロコロに膨らんだライチョウさんに出逢え、長時間続く西穂往復の緊張感が一気に癒されました

西穂山頂まで往復すると今までより当然時間が掛かりましたが、御褒美はやっぱり西穂ラーメン!達成感を感じながら食べるラーメンは最高です✨(時間的にお風呂よりラーメンを選びましたw)

結局ロープウェイ駅に着く直前までガスってくれたお陰で最後の最後まで雪が腐る事なく順調に下山出来て、15時15分の便に乗車する事が出来ました。(松本駅17時半着)

今回は雪不足による冬季ルートの断念が1番の心配でしたが、前日の降雪で稜線には30センチほどの新雪があり、なかなか良いコンディションでした。

ただ、独標から先はここ数日間誰も行けてなかった為NOトレースの部分もありましたが、所々で相変わらずコルの雪庇上やナイフリッジのハイマツの縁に、背筋も凍る深い踏み抜き跡など、能力と山との適合性が合ってない痕跡多々あり。
人が歩いた跡=必ずしも安全ではないし、もしパウダースノーで風が吹けば自分達の往路のトレースでさえアッと言う間に消えてしまう事も多いので、人のトレースを当てに(信用)し過ぎたり、自分のルーファイ能力を超えるルートには立ち入るのはとても危険です。

今回は雪山としては今までで1番難しいルートでしたが、その分ルートファインディングし甲斐があり、メンバーさんも常に冷静かつ忠実に行動して頂き、また移動中や山荘内でのコロナ対策などにもご理解、ご協力を頂き、安全に運営する事ができ感謝致します。

ありがとうございました!

⇩9月に縦走予定の、前穂から明神岳1〜5峰の稜線。(まだ空き席ありますよ〜♫
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『西穂高岳@プライベートガイド』” への2件のフィードバック

  1. 冬の西穂、登頂、そして無事のご帰還、おめでとうございます!
    すごいですね~。
    いろいろな条件がすべてそろったからこそですね。
    私は、西穂に行ったことがありませんが、機会があれば行ってみたい山、ナンバーワンです。

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    1. 西穂は雪山と夏とではまた違う難しさがありますが、段階と経験を積んで来た方には夏、冬共にとても楽しめる山です。
      ギンザブさんも是非来シーズンの目標にして下さいませ☆

      いいね

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